掻きむしりは「やめたいのにやめられない」ことがある
アトピー性皮膚炎があると、痒みが強い日があります。理性では「掻いたら悪化する」とわかっていても、無意識のうちに触ってしまうことがあります。昼間は我慢できていても、夜になるとコントロールが効きにくくなることもあります。
寝る前に手袋をして対策をしても、朝起きたら外れている。そして、手に血がついていることもありました。枕やシーツに小さな血の跡を見つけて、「またやってしまった」と落ち込む。そんな朝を何度も経験しました。
「掻かなければいい」と言われても、無意識の行動は簡単には止まりません。特に寝ている間は、自分で自分を止めることができません。
私の場合、体のほかにも指の爪のあたりをかいてしまい、右手の薬指だけがガタガタになりやすい状態でした。無意識に触れてしまう指が限られているようで、その指だけ爪の表面が乱れやすくなっていました。
掻きむしりを完全に止めることが難しいなら、「掻かない」ではなく「傷を増やさない」という発想に変えてみよう。そう考えたのが、今回の工夫のきっかけです。
アトピーで爪がガタガタになることがある理由
爪は、指先の生え際にある「爪母(そうぼ)」と呼ばれる部分から作られています。ここに炎症や強い物理的刺激が繰り返されると、表面がなめらかではない爪が生えてくることがあります。
指先の掻きむしりが続くと、この爪母に負担がかかります。その結果、縦や横に凹凸ができたり、波打つような形になったりすることがあります。
ただし、これはすべての指に同じように起きるわけではありません。私の場合は右手の薬指だけに変化が集中していました。他の指は比較的なめらかな状態を保っています。
また、季節によっても変化があります。乾燥しやすい冬や、花粉や汗で刺激を受けやすい時期は、無意識に触れてしまう回数が増える傾向があります。その結果、特定の指だけ悪化することがあります。
ジェルネイルでできること・できないこと
掻きむしり対策として取り入れたのが、セルフジェルネイルです。
最初は「ネイルで対策?」と自分でも半信半疑でした。しかし、目的はおしゃれではなく、肌の防御です。
折れやすい爪の保護にもなりますが、ここで大切なのは、ジェルネイルは「生えてくる爪の形を変えるものではない」ということです。未来の爪そのものをコントロールすることはできません。あくまで、今ある爪をどう守るかという発想になります。
できること
・今ある爪を厚くする
・爪の引っかかりを減らす
・表面をなめらかに整える
・掻いたときの皮膚ダメージをやわらげる
全体的に爪が薄く、先端に段差があると、掻いたときに皮膚につく傷が深くなりやすいと感じていました。右手の薬指は凹凸が強く、布や髪に少し触れただけでも引っかかる感覚がありました。
ジェルで厚みを出すことでエッジの鋭さがやわらぎ、触れたときのダメージが軽減されました。完全に傷がなくなったわけではありませんが、「前よりも悪化しにくい」という実感があります。
できないこと
・生えてくる爪の形を変えること
・爪母の炎症を治すこと
・痒みそのものを抑えること
ジェルネイルは治療ではありません。根本的な原因にアプローチするものではなく、あくまで物理的な防御です。この線引きをはっきりさせることで、過度な期待をしすぎずに続けられています。
実際に減った「傷」の変化
ジェルネイルを始めてから感じた一番の変化は、「傷の深さ」です。
以前は、気が付いたら皮膚に線状に赤くミミズ腫れのようなキズが付いていることがありました。ひどいときは、同じ場所を何度も引っかいてしまい、皮膚がえぐれたような状態になることもありました。
朝起きたときにヒリヒリする部分が広がっていると、それだけで一日気持ちが沈みます。
ジェルで厚みを出してからは、同じように掻いてしまっても“表面だけで止まる”感覚が増えました。完全に傷がなくなるわけではありませんが、かさぶたが大きく広がることは減りました。
これはあくまで個人の体感ですが、「キズが増えるスピードが緩やかになった」というのは確かに感じています。
サロンではなくセルフを選んだ理由
サロンに通う選択肢もありましたが、私はセルフを選びました。
理由は大きく三つあります。
一つ目は、自分のタイミングで調整したかったこと。
掻きむしりの状態は日によって違います。爪のコンディションも一定ではありません。違和感があればすぐに整えたいという気持ちがありました。
二つ目は、オフの負担をできるだけ減らしたかったこと。
爪がもともと薄いため、削りすぎることへの不安がありました。
三つ目は、目立たせたくなかったこと。
防御が目的なので、華やかなデザインは必要ありません。自然に、静かに守りたいと考えました。
さらに、セルフであれば「今日は右薬指だけ厚めにする」といった細かい調整も可能です。悪化しやすい指に合わせて塗り方を変えられるのは、大きなメリットでした。
セルフでやっている具体的な工程
ここでは、実際に行っている流れをまとめます。
- 爪の長さを短めに整える
- 表面の凹凸を軽く整える(削りすぎない)
- 右薬指の状態を確認する(折れにくくするために補強をつける)
- 全部の指の中央部分のみにピールオフベースを塗布
- 通常ベースジェルを全体に塗布(※皮膚につかないように)
- カラージェルを薄く二度塗り
- トップジェルでエッジを包み込む
特に意識しているのは「削りすぎないこと」と「エッジをきちんと包むこと」です。
ジェルネイルは皮膚につくとアレルギーを起こすことがあるので、ギリギリまで塗りすぎて皮膚につくことがないよう気を付けてくださいね。
ピールオフベースは全面に塗らない理由
オフの負担を減らすためにピールオフベースを使っています。ただし、全面には塗っていません。内側のみに塗り、その上から通常のベースジェルを重ねています。
全面に塗ってしまうと持ちが弱くなりやすいため、中央部分だけに限定しています。
・持ちを確保しつつ
・無理に削らずオフできる
というバランスをとっています。
先端処理を丁寧に行えば、約2週間は持ちます。
ガタガタが強い場合の注意点
凹凸が深い場合、無理に厚盛りすると逆に段差が目立つことがあります。また、オフの際に負担が大きくなる可能性もあります。またジェルを厚く塗ると硬化熱も感じやすくなります。
溝を完全に消すことよりも、「触れたときの刺激を減らす」ことを優先する方が安全だと感じました。凹んでいる部分が指先の方になるにつれ折れやすくなるので、補強をしておくと安心です。
状態が強い場合は、自己判断で無理をせず、専門家に相談することも大切です。
子どもにもできる?と考えたこと
自分が試してみて、「これ、子どもの手にもできるのかな」と考えたことがあります。
ただし、子どもの爪はさらに薄く、成長途中です。ジェルの硬化熱やオフの負担を考えると、慎重に判断する必要があります。
もし行う場合でも、厚くしすぎないこと、無理に削らないこと、異変があればすぐにやめることが大前提だと思います。
安易に勧められる方法ではありませんが、「掻き壊しによる皮膚ダメージを減らす」という視点は参考になるかもしれません。
ジェルネイルが向いている人・向いていない人
向いている可能性がある人
・掻いてしまう前提でダメージを減らしたい人
・爪の鋭さをやわらげたい人
・セルフ管理ができる人
向いていない可能性がある人
・爪や皮膚に強い炎症がある人
・ジェル成分で刺激を感じる人
・オフの管理が難しい人
すべての人に合う方法ではありません。
それでもジェルを続けている理由
掻きむしりが完全に止まったわけではありません。それでも、傷が増えにくくなった実感はあります。
・引っかかりが減った
・血が出る頻度が下がった
・爪先の鋭さがやわらいだ
・見た目のストレスが軽くなった
凸凹がひどいと埋めることは難しいですが、軽い凸凹はジェルのおかげで平らになり、他の爪と同じような見た目になったことがすごくうれしかった覚えがあります。
生えてくる爪を守るために意識していること
ジェルネイルでは未来の爪は守れません。そのため、物理的な刺激を減らすことも意識しています。
・爪母を強く刺激しないよう意識する
・痒みが強いときはマジック包帯で爪先をカバーする
・特に触りやすい右薬指を意識する
ピーク時には、その指だけ重点的に保護することもあります。
マジック包帯のおかげで右手の薬指は、以前よりも悪化しにくくなりました。
マジック包帯は百均にも売っています。
よくある疑問Q&A|掻きむしり対策としてのジェルネイル
Q1. アトピーの人がジェルネイルをしても大丈夫?
ジェルネイルは医療行為ではありません。そのため「アトピーだからできない」というわけではありませんが、爪や指先に強い炎症がある場合は避けたほうが安全です。
私の場合は、皮膚がジュクジュクしている時期は避け、比較的落ち着いているタイミングで行っています。違和感があればすぐにやめる前提で取り入れています。
Q2. トップコートだけでも効果はありますか?
通常ネイルのトップコートでも多少の厚みは出ますが、ジェルネイルほどの補強力はありません。強く掻いてしまうと削れやすいため、掻き壊しが強い場合はジェルのほうが防御力は高いと感じました。
Q3. すべての指にする必要はありますか?
私の場合は体全体を無意識に掻いてしまうため、基本的にはすべての指にジェルをしています。一部の指だけにすると、ほかの指で掻いてしまう可能性があるからです。
ただし、折れたりしそうな指は特に意識して補強で厚みを出すなど、状態に合わせて調整しています。
Q4. 爪がかなりガタガタでもできますか?
凹凸が深い場合、無理に厚く盛ると硬化熱を感じやすくなります。また、オフの際にピールオフとはいえ、かえって爪に負担がかかる可能性もあります。
状態が強い場合は自己判断で無理をせず、専門家に相談するほうが安心です。
Q5. 子どもにもできる方法ですか?
子どもの爪は大人より薄く、成長途中です。硬化熱やオフの負担を考えると、慎重な判断が必要です。
まずは爪を短く保つ、包帯で保護するなど負担の少ない方法を優先するほうが安全だと思います。
Q6. どのくらいの頻度でオフしていますか?
私は約2週間を目安にしています。浮きや欠けが出てきた場合は、それ以上放置せずオフします。浮いた部分が引っかかると、逆に皮膚を傷つけやすくなるからです。
「長持ちさせる」よりも「安全に保つ」ことを優先しています。
まとめ
アトピーによる掻きむしりは、やめたくても止められないことがあります。
セルフジェルネイルは治療ではありませんが、今ある爪を物理的に守るという意味では一つの選択肢になると感じています。
すべての人に合う方法ではありませんが、掻いてしまう前提で守りたいと考えている方の参考になれば幸いです。
症状が強い場合や判断に迷う場合は、専門家へ相談してくださいね。
